書評王の島

トヨザキ社長こと豊崎由美さんが講師をつとめる書評講座で、書評王に選ばれた原稿を紹介するブログです。

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『寛容論』ヴォルテール(斉藤悦則訳/光文社古典新訳文庫)

書いた人:長澤敦子光文社古典新訳文庫 読書エッセイコンクール2016 優秀賞受賞作 『建て前は「寛容」に繋がるか?』 「名古屋に地震や台風の災害が少ないのは市中で熱田神宮が護ってくれてるからだってよ」会えば親しく話す隣人の言葉に思わず呵々大笑して…

『書記バートルビー/漂流船』メルヴィル(牧野有通訳/光文社古典新訳文庫)

書いた人:春名 孝 光文社古典新訳文庫 読書エッセイコンクール2016 審査員奨励賞受賞作 『バートルビーという鏡』 バートルビーとは、何だったのか。 読み終えて頭に浮かんだのは、その言葉でした。〝誰だったのか〟ではなく、〝何だったのか〟。バートルビ…

『リリース』古谷田奈月(光文社)

書いた人:八木みどり 2016年12月書評王1985年山形県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。地方紙を経て子ども向けの専門紙で記者をしています。三十路。 古谷田奈月の『リリース』は、メビウスの輪を思い起こさせる。「男女平等、同権」を目標に掲げながら、し…

『くじ』シャーリイ・ジャクスン(深町眞理子訳)

書いた人:成毛 満千(なるけ まち) 2016年12月書評王福島県生まれ10代で演劇、20代でダンスをはじめる。本好きな元キャバレーの踊り子。2016年4月、書評講座の門をたたく。 幼い頃、夏休みに田舎の祖父の家に行くのが楽しみだったんですね。牛、馬、鷄、兎…

『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ(訳/脇功)

書いた人: 鈴木隆詩 2016年11月ゲスト牧眞司賞フリーライター(主にアニメ音楽) 自らの体験である第二次世界大戦中のパルチザン活動を描いた長編第一作『蜘蛛の巣の小道』から始まり、作品ごとに作風を変えていったイタリアの作家イタロ・カルヴィーノ。そ…