かかとを浮かせて、その分だけ少し詩に近づいたような軽やかな文体で、1990年頃と思われる時期の中学生スミと、現在の物書きの〈私〉、人生のいっときを釜山で暮らす二人の物語が交互に語られる。二人はそれぞれ日常のなかで、時空や虚実の境を越えて他者と…
優れた建築家が自然の地形を生かして美しい建物を建てるように、世界の歴史と現実を土台に見事な虚構を組み立てるのが宮内悠介という作家だ。『あとは野となれ大和撫子』(2017)では、環境破壊によって干上がった中央アジアの湖の上に架空の国を興し、少女…
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